【西田雄平の小さな発見】製造業のコストダウンも「型分解」から始めよう

「エイッ! エイッ!!」
 ここ3年ほど、こども空手教室に毎週、保護者として参加しています。
 拳の握り方から始まり、受け、突き、基本型、指定型……。学年が上がるにつれて、師範から教わる内容も徐々にレベルアップしてきました。
 そんな空手には、**「型分解」**という考え方があります。
 型分解とは、型で決められた一つひとつの動きが、実際の攻防において何を意味しているのかを読み解くことです。
 例えば、ある基本型の腕の動き。一見すると、ただ腕を動かしているだけに見えます。しかし実際には、「相手の腕を外側に広げる」「体勢を崩す」「みぞおちを無防備にする」といった意味があります。
 一つひとつの動きの意味が分かってくると、ただ形をなぞっていた型にも、ぐっと迫力が出てきます。

「生産性を上げよう!」だけではコストは下がらない

 これは、製造業のコストダウンも同じです。
 「もっと生産性を上げよう」
 「材料費を下げよう」
 「ムダをなくそう」
 
 そう声を掛けるだけでは、なかなか具体的な改善活動にはつながりません。そこで必要になるのが、**原価の「型分解」**です。
 例えば、製品原価を次のように分解して考えてみます。

  • 材料費↓ = 員数↓ × 仕入単価↓ ÷ 良品率↑
  • 直接労務費↓ = マンST↓ × 直接マンレート↓ ÷ 良品率↑
  • 設備費↓ = マシンST↓ × マシンレート↓ ÷ 良品率↑
  • 間接費↓ = 加工費↓ × 間接費レート↓

 こうして分解すると、「材料費を下げる」といっても、打ち手が一つではないことが分かります。
 使用量を減らすのか。
 仕入単価を下げるのか。
 歩留まりを改善するのか。
 
 同じように加工費についても、ST(標準時間)を短縮する方法もあれば、マンレートやマシンレートそのものを見直す方法もあります。

さらに「ST」や「レート」の中身まで分解する

 そして、ここからがミソです。
 
 STやレートについても、
 「そもそも、どうやって決めた数字なのか?」
 「その数字を構成している要素は何なのか?」
 「どうすれば数字を下げられるのか?」
 と、さらに掘り下げていきます。
 
 例えばSTであれば、作業そのものの時間だけでなく、段取り、運搬、待ち時間、不良による手直しなどに分けて見ることができます。レートについても同様です。人件費、設備費、稼働時間など、数字の中身まで分解していけば、改善すべきポイントが具体的に見えてきます。

 大切なのは、「コストを下げる」という大きな目標を、そのまま現場に渡さないこと。
 数字を分解し、さらにその数字の中身まで掘り下げることで、「何を変えればいいのか」「どこに知恵を絞ればいいのか」が見えるようになります。
 
 原価を徹底的に「型分解」してみる。
 改善活動がなかなか具体化しないときには、ぜひ一度試してみてください。

2026年9月3日
西田雄平







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